第三軍に行ったら、将軍リーガ様の膝の上に豪奢な猫がいた。
フリル付きの頭巾、レース製のバンダナのようなものを首に巻き、しっぽにはリボン。
ちらりと見えた首輪は豪華な銀糸の縫い取りがある宝石付きの首輪だ。
リーガ様自身、光沢ある白い布地のケープを肩にかけて仕事しておられた上、細身で人形のような容姿の方なのですごく絵になる。
あれってもしかして…。
「あぁ?この猫?第二軍で虐待を受けているところを助けてきたんだ」
ぎゃ、虐待?
「餌も与えられずに毎日害獣駆除として働かされていたらしい。全く酷いことをする」
いや、たぶん、ネズミ食べてたんで大丈夫かと。
ちゃんと肥えてるし…。
モップも閉じこめられていた訳じゃないから、いざとなったら逃げれただろうし。
運ばれてきたモップの餌はガラス製の器に盛られた新鮮な魚だった。
内陸なのに魚って、お前、贅沢なものを食べてるね、モップ。
今更第一軍の食堂の害獣対策用猫です、なんて言い出せる雰囲気ではなく、ここまで大切にされているのならモップも幸せかもしれないと思い、とりあえずその日は帰った。
間違いだったと知ったのはその三日後だ。
第三軍へ仕事で出かけたラーディンが慌ててる。どうしたんだろう。
「スティール!モップが王家に連れてかれちまったぞ!」
ええ?どういうこと!?
「リーガ様がモップを哀れな猫だと思っておられたらしくてよ!ちゃんとした飼い主を捜しておられたらしいんだな。そうして見つかった引き取り手が第二王子ウォーレン様だったらしい!」
ええ?あれって一時預かりだったんだ?
うわ、モップ、大出世だね。喜んでいいのかどうか判らないけど、こうなったらちょっと取り戻すのは不可能っぽいなぁ。今更王家の方にうちの猫ですなんて言いにくいよ。
「まさかうちの従業員が王家のペットになるとはなぁ」
ラーディンもなんだかしみじみとしている。
そうだね。
とりあえずモップ。お前の幸せを祈っておくよ。
<END>
折角元気に働いていたのに、誤解を受けて異動になったモップ。
当猫の意図せぬところで大国の王家の飼い猫となります。
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おまけ話