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◆王子様とお猫様

ウォーレンはウェリスタ国第二王子である。
中肉中背で容姿もごく普通の彼は、王子という生まれでさえなくば、ごく普通の生涯を送ることが出来ただろう。
しかし彼は大国の王子として生まれ、更に言えば、血筋もよかった。今のところ、次代の王になるだろうと言われている。
そんな彼は近衛第三軍将軍リーガと友人であった。ウォーレンが見聞を広めるために入った士官学校時代からの友人なのだ。
そんな彼はリーガに猫を突きつけられて困っていた。

「ええと、リーガ……これはなんだい?」
「なんだ、君は猫も知らないのか!世間知らずにも程があるぞ!」

短気で高飛車な友人は呆れた様子を見せた。
いや、もちろん猫ぐらい知っているとウォーレンは思った。そこまで世間知らずではないつもりだ。
問題は何故猫を突きつけられているか、なのだが。

「やれやれ。君はもっと常識を知った方がいいぞ、ウォーレン。世間知らずの君はこの猫を愛でることで様々な事を学ぶことができるだろう。小動物を愛でる心を養い、庇護することを覚えたまえ。この猫は気の毒な過去を持っているのだ。君の愛で心の傷を癒やしてくれるよう祈る」

一方的にそう告げるとリーガは猫を置いて立ち去っていった。

「ええと………」

何が何だか判らない。判っているのは一方的に決めつけられ、一方的に猫を置いていかれたことぐらいか。
だだっ広い王宮のど真ん中。それも大広間のど真ん中に置き去りにされた猫は、困惑気味にニャーと鳴いた。

「……お前も大変だね」
「……ニャー」
「とりあえず、おいで……」

五日後、元気なくウォーレンの膝の上に乗っていた猫はアルディンに発見され、引き取られることになる。

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