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◆みどりの分かれ道(5)


(性描写があります。お気をつけください)

「……ハァ……すげ…え…よかった……サフィ……」

やや照れくさそうにしつつもフィールードはハッキリと言い、ニッと笑った。元々、サフィールへの好意が判りやすくあからさまな人物ではあるが、こういう時にあまりハッキリ言われるのも居心地が悪いというか照れくさい。
サフィールは少々気恥ずかしいのを誤魔化すように再度愛撫を開始した。

「っ……ハァ……ハァッ……ンッ……や、やめ……」

まだ体が昂ぶったままの状態で再度弱い部分を刺激され、フィールードの声はすぐに甘く溶けた。
嫌がるように身をよじりつつも、抵抗の動きはなく、殆ど口先だけだ。むしろ胸元は更なる愛撫を強請るように動いている。

「アッ……ヤ……メ……やめろって…そこ、もう…っ」

ずっと指を射れて慣らし続けている入り口はずいぶん解れてきている。これならばだいぶよさそうだと思いつつ、サフィールは鈍くしている感覚を戻し、その代わりに逆に刺激を強める方へ印を使った。

「アッ!?な、んだっ!?」

いきなり中を探る動きが判りやすくなったので戸惑っているのだろう。フィールードが眼を白黒させる。サフィールは説明することなく、指先で中をひっかくように動かしつつ、時々生気を流して刺激を与えた。そのたびに不意打ちのような刺激を受け、フィールードはビクッと体を震わせる。

「ンッ……アッ!!!」

一度達したこともあり、フィールードの体はすっかり力が抜けきっており、サフィールに身を委ねている。仕事でよく鍛えられた体がサフィールの思いのままになっているのだ。
フィールードはサフィールより体格がいい。本来ならばサフィールは抱かれる側だろう。当人にも少なからずそういう思いがあったはずだ。それは普段の積極的な行動やリードしようとする動きからサフィールも感づいていた。コインの結果は偶然だったが、サフィールにとっては幸運だった。例えフィールードが攻め手をやりたかったとしても、リードしたかったのだとしても、サフィールも男だ。そう簡単に主導権を譲ってやる気などなかったのだ。

(もっともっと気持ちよく感じるといい……もっと溺れてしまえ)

快楽に溺れて何も判らないぐらい感じればいい。サフィールが与える刺激でとんでしまえばいい。それぐらい気持ちよくなってくれた方がサフィールには嬉しいし都合がいい。次も抱かれる側がいいと思ってくれた方がいいのだ。

(こいつが望むなら一度ぐらいは抱かれてもよかったが……こんな顔見せられるとな)

嬉しくて仕方がないというような、幸福に溺れきったような表情と快楽に濡れた顔は他の誰にも見せられないと思うし、何度も見たいと思う。そんな極上の顔だった。コレを見られるなら何度でも抱きたいと思うし、好きなだけ快楽を与えてやりたいと思う。
反り返った性器はだらだらと体液を零し続けている。根元は達した時と、先走りでどろどろの状態だ。
聖ガルヴァナの腕で先端を掠めると、フィールードは感極まったような声を上げて身を震わせた。

「アアッ、サフィッ……もう、無理、だ…っ……また、イクッ!!」
「イケよ、幾らでも」
「でも、お前、まだ、だろ!!もう、イレろよ!!」
「俺は別に……」
「射れろよ、言わせるな!欲しい、んだよっ!!」

しつこいぐらいに中を慣らしていたが、最初に腕で刺激した前立腺には直接には触れていなかった。
途中で腕の動きは下腹部周辺を撫で上げる方に使っていたので、前立腺への刺激はやめたままだったのだ。
入り口付近ばかりを刺激され、物足りなくて仕方がなかったのだろう。

「はや、くっ……っ」

自分ばかりイカされるのがイヤだというプライドもあるのだろうが、一番の理由は物足りなさだろう。直接刺激を奥まで受けたくて仕方がないのだろう。

(じゃあ望みどおり刺激してやるか……)

実際は自分だってフィールードが欲しいのだ。求められるのはとても嬉しい。
自分から足を開くフィールードに、積極的だなと言うと、フィールードは羞恥に顔を赤らめ、睨み付けてきた。
そんなフィールードに宥めるよう口づけながら貫く。
前立腺の場所やフィールードの弱い部分はだいぶ判ってきた。望みどおりに奥を刺激してやりつつ、生気を流すと、すぐにフィールードは限界に達し、声を上げて仰け反った。

「その声、イイな」

サフィールがそう告げると、フィールードは顔を赤らめた。達したときの声のことを言われているのだと気付いたのだろう。羞恥に染まった顔がサフィールの間近からの視線を受け止められないのか、逸らされる。

「まだイケるだろ?」
「お、まえ、俺を殺す気か……っ」
「欲しい」

フィールードは目を見開いた。
無口なサフィールにしては珍しいハッキリした意思表示が、フィールードには嬉しかったのだろう。驚きの表情はすぐに甘く蕩けた。日に焼けた腕が甘えるように体に絡みついてくる。

「動けなくなったら責任持って治せよ」
「あぁ」

それは当然だ。ただし、どこまで癒せるかは判らないが。
サフィールはフィールードの服に隠れる胸元付近にわざと痕を残すように口づけると、再度動き始めた。