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◆みどりの分かれ道(4)


(性描写があります。お気をつけください)

フィールードが着ている服を脱がしていく。フィールードの方も協力的であったため、服はすぐに脱がすことが出来た。ついでに己も脱ぐと、フィールードも嬉しげに手伝ってくれた。
露わになった肌に少し視線を奪われる。普段は牧場で働いているフィールードは力仕事に長けており、体も綺麗に筋肉がついていた。
日に焼けた肌をしていると思っていたが、それは見えている部分だけの話だった。胸や下半身は月明かりでも白く見えた。陽光の下ならばもっとハッキリ判るだろうにとサフィールは少し惜しく思った。今度はちゃんと見えるところでヤろうか。
そんなことを思いつつ、胸元に触れていく。突起を舌先で突き、軽く押しつぶすとフィールードが小さく呻くのが聞こえた。
手を這わせつつ、体のあちこちを探っていく。時折びくっと体を震わせはするものの、胸元と性器以外の反応は悪かった。緊張に堅くなっているのか、あまり敏感ではないのか、どちらにしろ、少々やりづらい。

(神経は通っているはずだが……こういうのには個人差があるからな。俺も不慣れだし…お互いに少しずつ慣れていくしかないんだろうが………キツい思いをさせるのもな……)

不慣れな時は、抱かれる側に特に負担がかかると聞いている。できればそういう思いはできるだけさせたくない。だからこそ快楽に紛らわせてやりたいのだが、こうも堅くなられるとどうにもならない。
あちらこちらに触れていくうちに、ふと思いついたことがあった。軽く精神を集中させて『聖ガルヴァナの腕』を生み出す。生気で出来た腕は何にも遮られることなく体の中へ入り込める。そうして潜り込ませた腕でサフィールは直接前立腺を刺激した。

「ぁああっ!!」

直接触れられるのはかなりの刺激になるのだろう。フィールードの反応が全く違った。大きく体を震わせて声を上げた。

「なっ、…いま、の、何だっ!?……ぅあっ!!や、やめ、それ、すごすぎるっ!!」

あまりの刺激にフィールードは驚いているようだ。しかし、痛いとは言わないのでやはり気持ちいいのだろう。ならば問題ないとサフィールは思った。気持ちよくなってもらいたいわけであって、そのためには快楽を高める必要があるのだ。サフィールが制止を無視して刺激していくと、フィールードは慌てて止めようと動いてきた。しかし潜り込んでいるのは生気で出来た腕だ。退けようにもすり抜けるだけである。何の抵抗にもなっていない妨害を受ける間にもサフィールは腕を動かし、少しずつコツを掴んでいった。元々、緑の印を使うのは得意なサフィールだ。経験はまだ浅いが、上級印持ちということもあり、印は強い。生気で出来た腕の指先で軽く生気を流してやると、フィールードは大きく背を仰け反らせた。

「ぁあああっ!!!」

達することまではなかったが相当な刺激だったのだろう。勃ちあがった性器の先からドッと先走りが溢れ、腹につきそうなほど反り返っている。
月夜でわかりづらいが、眼は潤み、目尻は赤らんでいる。荒く吐く吐息はハッキリした官能の色に濡れている。
サフィールはさきほど脱いだ服のポケットに手を伸ばした。家から持ってきたのは潤滑剤がわりのオイルだ。肌の乾燥を防ぐために使う薬用のものである。その動きに気付いたのか、フィールードはサフィールの手元を見つつ、眼を細めた。

「サフィ、俺も、一応あるぜ。服に入ってる」

ある、というのは潤滑剤のことだろう。この行為には彼の方が積極的だった。当然、意図的に持ってきたのだろう。

「そうか。だがコレで問題ない」

印を動かして一時的にその辺りの痛みを鈍らせつつ、オイルに濡れた指を入れ込む。ゆっくりと中を慣らしつつ、指を動かしていくと、フィールードが眉を寄せた。

「ん……っ、な、んか変な感じするけど……痛くはないな……っ」
「当たり前だ。痛くないようにしている」
「痛く、ないようにって……な、んか、すげえ……お前。惚れ直す」

口づけを求めるように近づいてくる顔をサフィールは逸らすことなく受け止めた。
舌を絡めて口づけながら、サフィールは指を二本に増やした。
そしてずっと放置していた聖ガルヴァナの腕を再び動かす。口づけと内部を慣らす指と腕とでさすがに動きがおろそかになってくる。一番動きが鈍かったのはさすがに上級印技の腕だ。動きを間違えて体から抜いてしまい、下腹部を撫で上げるようにかすめる。

「ン、ンンンッ!!」

しかし、その動きは思わぬ刺激になったらしい。口づけを受けながら、フィールードが呻くように声を上げた。

(今の、どこだった?)

そんなことを思いつつ、再度下腹部付近を腕で撫でていく。

「ンンッ!!!ンンンンーーー!!」

(足の根元や性器周辺か……何で俺自身の手で撫でた時は反応が悪くて、腕の時は反応が抜群なんだ……)

少々納得がいかない部分があるが、理由を問われたところで当人にも判らないだろう。

(体のことで判らないことがあるなんて許せん。絶対調べてやる……!!)

「ンンーーーッッ!!」

妙な負けず嫌いを発揮したサフィールにより、何度も性器付近を執拗に責められ、フィールードの声が涙に溶けた。もうイキたいと訴えるかのように背を叩かれ、サフィールは口内を蹂躙していた口を離すと、生気で出来た指先で電流のように生気をビリッと流した。
たまらないのはフィールードだろう。もうすでにイク寸前まで張り詰めていたところへいきなり強い刺激を受けたのだ。

「ア、 ァアアアアアーーーーッ!!」

フィールードは痙攣するかのように幾度も大きく体を震わせて、精液を飛ばした。
初めてサフィールが聞く絶頂時の声は官能の艶に染まり、強くサフィールの耳に残った。