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◆古木石の音色(2)


(※このページには性的描写があります。苦手な方はお気を付け下さい)

一番新しい運命の相手は、士官学校でかなりの問題児だけあり、かなりスレている。
深い人間不信のせいで目つきは悪いし、かなり痩せているせいで軍人のスティールが抱えられるぐらい軽い。それでいて平均的身長はあるのだ。ウィダーがどれだけ痩せているのか判るというものである。
育ちがよくないとは聞いていた。子供の頃は王都の治安が悪い場所で路上生活をしていたという。
だからスティールは、ウィダーがそれなりに経験があるのだろうと思いこんでいたのだ。

(まさか未経験とは思わなかったしなぁ……いや、ちゃんと丁寧にやったし、大丈夫だったけど……)

目つきが悪くて、見た目もさほどよくないウィダーを抱こうという者はいなかったらしい。
おまけに『死に神』なんて異名をつけられていたことも理由の一つだろう。不吉と言われる闇の印を持つ子供を襲う大人もいなかったようだ。
いずれにせよ、スティールとしては嬉しい誤算だった。

最初から後ろの快楽を教えたせいで、ウィダーは後ろからの刺激がないと達しにくい体になっている。
しかし今日はずっと前ばかり弄っているせいでもどかしいのだろう。無意識に強請るように腰を動かしつつ、ウィダーは己を背後から抱き込む体勢のスティールを呼んだ。

「あっ…ん、んんっ……んぁっ、スティールッ…」
「んー?」
「だ、からっ…あうっ、ん、んっ、あああっ、ス、ティールッ!!」

とろとろと流れる精液で下生えまですっかり濡れている。
その流れる感触にさえ感じるのか、びくびくと背が小さく揺れている。
しつこく前を弄られて、それでも後ろからの刺激がなくて最後まで達することができない。長い責め苦にウィダーは背後のスティールを睨み付けた。

「…ス、ティールッて言ってるだろ!!」
「名前呼ばれてるだけだし」

意地悪な気分でサラッと躱してみたが、ウィダーの眼差しにその気持ちも緩んだ。当人は睨み付けているつもりなのかもしれないが、涙目で見つめられては縋られているのと変わりがない。
後ろの入り口を指でなぞると刺激を欲しがるように収縮する。

「欲しいんだ?」
「……てめえっ……」

睨んだウィダーだったが、唐突に指を突き立てられ、大きく仰け反った。

「ぅあっ…!…バ、カ、やろっ…いきなり…っ」

スティールは苦情を無視していつもやっているように指で馴らしていった。
元々欲しがっていたところへようやく与えられた刺激だ。文句を言ったウィダーだったが、欲していた刺激を与えられ、すぐに喘ぎ声は甘く変化していった。

「んっ、…あっ…あっ……スティールッ」
「もっと?」
「ん、んんっ」

必死な様子で頷くウィダーは正気を飛ばしかけているようだ。指を二本、三本と増やしても痛がる様子はなく、後ろは喜ぶかのように指をくわえ込んでいる。

「…スティールゥ…」

正気の時ならけして聞けない甘い声で強請られ、スティールは笑顔で頷いた。

「うん、いいよ」

スティール自身で貫かれ、やっと与えられた刺激にウィダーは悲鳴じみた声をあげて達した。