文字サイズ

◆シードの見合い話 その3(シード視点)


見合いから帰ってアルディンにベルクートのことを聞いてみた。
さすがに従兄弟というだけあり、アルディンはベルクートのことを知っていた。

「彼は港町ギランガを治める頭領一族の跡継ぎだ。港町だけあって、荒くれ者の多い海の男たちやずる賢い貿易商の相手をしなければならないんだが、あいつは腕も立てば、頭もいいヤツでな。対等に渡り合っていると聞く」

あぁ、仕事には強いと言ってたな、そういえば。

「気さくに街の酒場に出向いて酒を飲んだりすることもあり、町民にもよく慕われていると聞くぞ」

へえ……ただこれだけ聞けば普通にいいヤツっぽいんだがなぁ。

「少し人見知りの気があるらしい。仕事では出ないらしいが」

ありゃ人見知りか?そういうレベルじゃねえ気がするんだが。

「私はまともに話せるようになるまで三年ほどかかったな。まぁ距離があるからしょっちゅう会うわけじゃなかったが」

三年!?まじかよっ!?

「まずは文通から始めるといい。会話だとなかなか続かないんだ」

文通!!会話じゃ続かねえって筆談から始めろってことかよ!?

「距離もあるからちょうどいいんじゃないか?」

確かにミスティア領までは遠いしな。……ぶ、文通……文通ね。じゃあいい紙でも買ってくるか。近衛軍の業務用の紙じゃあんまりだろうからな。

<END>

アルディンのアドバイスを真に受けるシード。真面目にレターセットを買いに行きます。
こうしてちまちま続きます。