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◆奉剣の舞(5)


※このページには性的な描写があります。苦手な方はご注意ください。


つんつんと突く感触とくぐもった声にスティールは眠りがさめた。
顔の横にいたのはドゥルーガだ。彼がスティールを起こしたらしい。

「う〜、もう朝?」
「違う。約三時間後ってところだな」

短い間だったが熟睡していたせいか、強烈な眠気はだいぶ取れていた。
風呂に入って食事をし、眠りに落ちた。結構早い時間だったからまだ朝までは数時間あるだろう。
ならばまだ眠れるなと思ったスティールはドゥルーガが自分を起こした理由を知った。

「ラーディン…。ドゥルーガ、お前…」

スティールに頼まれてラーディンを縛ったドゥルーガはどうやら悪戯をしたらしい。
ラーディンは椅子に縛られていた。
両腕は縛られて椅子の背に括られ、開脚状態で椅子の脚に縛られている。
猿ぐつわで声が出ない状態にされ、シャツは全開、ベルトも緩み、下着が見えている。そのため、膨らんだ股間がよく判る状態だ。
どこの人質かと言いたくなるような状態にスティールは軽く頭を抱えた。確かに眠気がピークで、眠る邪魔をしないようにしてほしいとは思ったが、ここまでやれと言った覚えはない。縛った後にドゥルーガが触れまくったりしたのだろう。
室内が暗かったのでランプを灯し、スティールが近づいていくと、ラーディンはホッとした様子で表情を緩めた。
猿ぐつわを外し、拘束している水を解くようにドゥルーガに頼むと、ドゥルーガはあっさり応じてくれた。
小さな相棒は頼りになり、大変便利な存在だ。しかし…。

「ごめん、ラーディン」
「俺も悪かったとは思うけど、ひでえぞ、スティール」

やっと解放されたと息を吐くラーディンは涙目で顔は紅潮している。
男らしくさっぱりした性格の彼がそんな顔をすることは滅多に見られないため、スティールは少し相手に魅入った。

「ちょっと悪戯好きだよなぁ、ドゥルーガは」

退屈しているんだろうかとスティールが首をひねっていると、小竜の悪戯で焦らしに焦らされたラーディンに抱きしめられた。ラーディンの方が長身で体格がいいため、正面きって抱き合うとスティールの方が抱きしめられるような体勢になるのだ。
触れあった部分からラーディンの昂ぶりがハッキリと感じられる。

「すごく熱いね」
「もう待てねえよ、すぐ欲しい」
「俺、まだ準備できてないし、それに…」

ラーディンの背に回した手を降ろしていく。少し乱れた服の上から尻の窄まりを強く突くとラーディンが小さく呻いた。

「ココも慣らさないと入らないしね」

熱く息を吐いたラーディンは限界に近いのだろう。紅潮した顔をしかめ、苦しげな表情で視線を彷徨わせた。スティールが眠っている間ずっと焦らされた体はきついのだろう。しかしすぐには無理だというのも判っているようだ。

「んっ、あ、まり触るな、イク…っ」
「そのままイク?」

やんわりと臀部を愛撫するように触るとラーディンはクッと息を詰め、耐える表情を見せた。

「嫌だ…スティール………なぁ痛くていいから入れろよ」
「それは俺が嫌だな。無理に入れると俺もキツイし」

ラーディンの体を傷つけるのも嫌だ。試験も近いのだ。体に負担をかける行為はやめるべきだろう。

「スティールッ」
「やっぱ一度達っておこ、ラーディン」
「わ、待てって…」

慌てるラーディンに構わず、手を秘所へ忍ばせる。
熱く膨らんだ下腹部に触れて下着越しに揉むように刺激すると、ラーディンが低く呻いた。
慌てて手を取り除こうとしているが、我慢するのに必死なラーディンの手には全く力が入っていない。元々焦らされまくっていたせいか、限界を迎えるのは早かった。

「ゥ…ヒアアッ」
「良い声」
「…バカ…っ…ひでえ、スティール…嫌だって言ったのに」
「あー、そういえば一回だけって言ってたっけ…これでいい?」

体を離そうとしたスティールにラーディンは慌てて首を横に振り、抱き留めた。

「そんなわけねえだろ。ぜんっぜん足りねえよ」

あまりにあっさりしているスティールに不安になったのか、やや気弱に付け加える。

「そんなにしたくないのか…?」

無理強いしているのだろうかと気になったのだろう。優しい親友らしい気遣いにスティールは笑んだ。

「そんなことないよ。いいって言われたらどうしようかと思った」
「言うわけねえし。脱ぐからちょっとあっち向いてろよ」
「何で?」
「恥ずかしいだろ」
「何を今更…」

同級生のため、授業で着替えることなどしょっちゅうある。
恋人でもあるため、互いの全裸も見慣れたものだ。
あきれ顔のスティールにラーディンは苦笑した。

「なんか見られながら下を脱ぐのって好きじゃねえんだよ」

そういえば彼はいつも入浴の際に脱いでくるか、先に脱いで待っていることが多いなとスティールは気づいた。あまり意識して考えたことはなかったがそういう理由だったのか。
まぁいいかとスティールは引き下がった。ラーディンは無理強いしすぎると少々面倒なのだ。
自分も脱いで寝台に上がると、同じく脱いだらしいラーディンに抱きつかれた。
自分より体格がいい恋人はまた身長が伸びたようだ。自分も多少は背が伸びたつもりだが、この様子では追い越せることはなさそうだ。それを少し残念に思う。
ラーディンのしっかり筋肉がついた手足は男として理想的なものだろう。

「いいなぁ」
「何が?」

当然ながら怪訝そうな恋人に嫉妬を込めてスティールは答えなかった。代わりに胸元を軽く噛むとラーディンは低く呻いた。彼はこういうとき声を出すのを嫌がる。しかし声を出す代わりに耐えようとする表情にスティールはすごくそそられるのだ。
早く欲しいというラーディンに答え、潤滑剤でたっぷりと手を濡らす。
四つん這いになろうとしたラーディンをスティールは引き留めた。

「正常位にしようよ」
「…俺、あまりそれ好きじゃねえんだけど」
「たまにはいいじゃないか。やりたい」

ラーディンは背中側から繋がる後背位が好きなのだ。スティールとラーディンでは体格差もあるため、後背位の方が楽だというのもある。
そのため、正常位では殆どしないのだが、スティールが強く希望すると仕方なさそうにラーディンは体勢を変えた。
正常位で繋がるためには足を大きく開く必要がある。その上、向かい合わせなので表情がよく判るのだ。ラーディンが嫌がるのはそのためだろう。
躊躇いがちな動きに焦れて、強引に足を開かせるとラーディンの表情が羞恥に歪んだ。
指を孔に入れてゆっくり慣らしていくと、ラーディンの手がシーツを掴んだ。耐えるようにぎゅっと握りしめる。
潤滑剤で塗れた音が室内に響く。どうしても卑猥さが感じられる音だ。
途中で指を増やして更に慣らしていく。入り口を指で押し開く動きをしたとき、部屋にノック音が響いた。

「おーい、スティールゥ」

二人揃って、ぎょっとして入り口を振り返る。
同じ寮の同級生の声だ。

「何?」
「カードしないかー?今、三人なんだよ」
「ごめん、すごく眠いからやめとく。頭、まわんない」
「ちえ、しょうがねえな」

諦めたように友人が去っていくと同時に、本棚で眠っていた小竜がふわりと浮かび上がり、扉へ近づいていった。カコンッと音が響く。鍵を閉めた音だ。
気が利く小竜は、鍵が開いていることに気づいてくれたらしい。

「あ、俺、鍵かけてなかったっけ…」
「スティールッ」
「危なかった…」
「勘弁してくれよ。こんなところ見られたくねえぞ」

片手で顔を覆いつつ、ハァとため息をつくラーディンは、大きく開いた股間が潤滑剤や愛液でべたべた、しかも指をあらぬところに入れられている状態だ。確かに見られたらお互い、気まずい思いをしただろう。

「うん、俺もこんなラーディンは誰にも見せたくない」

スティールの台詞が嬉しかったのか、しかめ面がゆるむ。

「じゃあ、早くくれよ」

いいかげん、限界だと告げるラーディンに笑み返し、スティールは指を抜くと熱く濡れた其処へ滾る自身を突き入れた。