猫探しを始めて四日目になった。
時間外にやっている上、夜なのでどうしても睡眠時間が削られてしまう。
ちょっとだるいなと思いながら、食堂で昼食を取っていると、ラーディンに愚痴られた。
「スティール、今夜もニルオス様と二人きりかよ」
誤解を受けそうな発言は止めてくれないかな、ラーディン。俺は猫探しをしているだけだから。
「俺もどうせ探すならスティールと一緒がよかったな」
休暇中ではない騎士には全員に猫探しが言いつけられている。当然ラーディンも猫探しに借り出されているのだ。
けど、猫探しは勤務時間外に行うということでボランティアだ。そのため、部下には拒否権がある。
秋は休暇中の者が多くて、残された者にそのしわ寄せがくる。つまり通常勤務だけでも激務になっているので、猫探しを真面目に行っている者は殆どいないのが現状のようだ。
俺もラーディンと一緒の方がいいんだけど、将軍位は組み分けされちゃったからしょうがない。
「ネズミを根絶できるわけねえだろ。あいつらは増えるものだって」
悟りきったようなラーディンの台詞に苦笑する。そうかもしれないけれどね。けど雪崩のようなネズミだよ?放っておくのはヤバイよ。
「雪崩のようなネズミか。猫も埋まりそうだな」
うん、…まあね。埋まるだろうね、雪崩だし。
「しょうがねえな。うちの店に売ってあるネズミ取り器を幾つか持ってくるから仕掛けてみろよ。全然取れねえよりマシだろ」
「うん、そうだね」
「ちゃんとうちの店で扱ってる商品だってアピールしておいてくれよな」
商売上手だね、ラーディン。
予算的に厳しいって言ってたけど、ネズミがよく獲れたら考えてくれるかもしれないしね。話をしておくよ。
「ところでスティール、猫集めの後は?明日、休みだろ?」
ちょっと照れたようなラーディンの表情に期待と微かな羞恥が見える。
「うん…………家に行っていい?」
「ああ、待ってる」
ちょっと楽しみが出来た。