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◆猫とネズミとレストラン〜ある事件裏の話〜

3.猫集めの準備


幾ら休暇中で会議の参加者が少なかったとはいえ、ニルオスさまと組になるとはどういう確率だろう。出来ればこの方とは、一番組みたくなかった気がする。
フェルナンも俺がニルオス様と組むことになったと言うと微妙そうな表情となり、ニルオス様に余計なことを言うなと釘を刺していた。どういう意味なんだろう。ちょっと気になる。
そのフェルナンはリーガ様と組になったらしい。リーガ様は白い髪を肩で切りそろえた小柄な方で、人形のように整った容姿の方だ。それでいて強力な印攻撃を得意とされる。フェルナンと並ぶと随分、見栄えのする組だ。
ディ・オン様はサフィン様と組になり、アルディン様はシード様と組になった。
ディ・オン様はシード様と組になりたかったらしく、アルディン様にくじ変更を申し込んでおられたけれど、シード様がくじ結果は公正だと横から却下なさってた。アルディン様とシード様だけ普段通りの組み合わせというのも妙な偶然だな。

「俺は情報を集める。お前はとりあえず知り合いにあたってみろ」

ニルオス様に言われては逆らえない。知り合いに聞き込みすることになった。


+++


「猫?いるけど、やれねえなぁ…。うちも害獣や害虫でるし」

ラーディンは却下、と。
先輩は帰省中だからおられないし、ティアンは寮だから俺と条件一緒だし。
とりあえず知り合いに片っ端から聞いて回るしかないよなぁ。

「うーん、ねこ、ねこ、ねこ…。やっぱり罠でも仕掛けるしかないかなぁ」
「ネズミを捕らえるために猫を捕らえるか。何ともマヌケな話だな」

うるさいよ、ドゥルーガ。

「俺はネズミが増えた原因を考えた方がいいと思うがな」

さすがドゥルーガ。正論だ。

「けど既に増えてる以上、まずはネズミを駆除しないと食料が食べ尽くされちゃ遅いし…」

雪崩のようなネズミを見た目撃証言があるんだから、急がないとヤバイと思うんだ。
とりあえず軍関係者にあたった後、軍以外の知り合いにも話をしておこうかな。王都にはあまりいないけどね。