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◆紙面の中のファムファタル(3)


やると決めたニルオスは徹底的だった。
見つけたファンクラブの本拠地はファンが町中に借りていた部屋にあったが、ニルオスは極秘裏に踏み込ませ、室内にあったものを一つ残らず回収させた。
回収させた物の中には会報や原稿だけでなく、フェルナンの姿を描いた素描や古着、古剣などまであった。

「全部燃やせ。いいな、確実に燃やし尽くせ!!一冊、一ページたりとも残すな」

回収させた中から会員情報だけを取りだし、ニルオスはそう命じた。
書きかけられていたニルオスとフェルナンの小説も当然ながら燃やされた。

「ったく、絶対許せねえ!!寒気がとまらねえじゃねえか」

文章を見ると思わず読んでしまうニルオスは自分とフェルナンの話を読みかけてしまっていた。呆れ顔のグリークが取り上げてくれなかったら書きかけを全部読んでしまっていたことだろう。

「全員左遷してやる。第二軍に置いておけるか、こんな奴らっ!!最前線で死んじまえ」

タイミングよく秋の人事異動がある。目前だがかまうものか、放り込んでやるとニルオス。

「まぁ俺はかまわんが大丈夫か?」
「当然だ、俺にまかせておけ!!確実に根絶やしにしてやる!!まずは主犯格を…」

やると言えば徹底的にやるのがニルオスだ。手段を選ばず、言い出したら止まらない男がやると言っているのだ。任せておけば問題ないだろう。
軽く肩をすくめたグリークは一仕事終え、すっきりした気分だった。仕事内容は気持ち悪かったが、終わったから問題ないだろう。
そんなことを思うグリークは悪魔のように頭の良い隣の上司が別なることを考えていることに気づかなかった。

(フェルナンにこんなファンクラブがあるってことは、グリークにあってもおかしくねえな。念のため調べておくか。大なり小なりあったら叩きつぶしてやる)

そうして、サフィンは仕事を終えて爽快な気分のところに呼び出しを受けるのである。

「おい、サフィン、次はグリークのファンクラブを調べるぞ!」
「はあ!?」


<END>



同人誌ではなく、ストーカー記録です。
さすがにフェルナンには秘されて実行されました。
ちなみにニルオスのファンクラブは存在しません。
グリークのファンクラブはフェルナンのファンクラブほどはた迷惑なものではありませんでしたが、ニルオスによって八つ当たり気味に潰されます。→プチ・後日談