フェルナンが第一軍将軍となって間もないころ、スティールは第二軍将軍ニルオスに呼び出された。
(な、なんだろ。まさかまた異動命令とかじゃないよな?)
スティールが内心緊張しながら行くと、ニルオスは書類らしきものをスティールへ差し出した。
「確認しろ」
「はい。……取り扱い注意説明書……?」
曰く、風呂には一人で入れるな、護衛をつけろ。
できれば二重に鍵をつけられるセキュリティの高い風呂を特別設置するのが望ましい。
側付きの従者は素性まできっちり調べ上げ、既婚者か恋人持ちを選ぶこと…などなど。
「あの…これって……」
全部フェルナン用のものであるらしい。
ニルオスはニヤリと笑んだ。
「親切だろ、俺様は。同格になった元部下への好意だ。あいつは顔がいいからな、それぐらいしておけ。むしろしねえとやべえ。いつ何処で襲われるか判らないヤツだ。俺が将軍位に上がって初期にやったことは恋人の確保とフェルナンのファンクラブ潰しだ」
「ふぁ、ファンクラブ…ですか」
「あぁ。ストーカー記録かってぐらい分厚い会報を作ってやがったから全部燃やし尽くし、会員は地方軍に飛ばして根絶やしにしてやった。フェルナンには言うなよ?あのプライドの高い男が知ったら地方まで行って皆殺しにしかねないからな」
さすがにそこまではしないだろうが、大きなショックを受けるであろう事は確実なのでスティールは頷いた。
「いいか?物事は小さいうちに潰しておくのが得策だ。これを見逃すと後で禍根になりかねないからな。よーく覚えておけよ?まずストーカーの見つけ方だ…」
「は、はいっ」
ニルオスの説明は詳細かつ、何でそこまで知っているんだと問いたくなるぐらい具体的なもので、スティールは今まで知ることもなかった妙な勉強をしたのであった。
<END>
ニルオス、将来のためにスティールへ貸しを。
具体的に知っているのは本を隅々まで読んでしまったため。
性格は悪いものの、周囲の信頼を得ることから始めるニルオスはマメな性格なのでちゃんと部下も管理してます。(いろんな意味で)
ニルオスの両翼は共にものすごくモテます。