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◆嵐の扉(6)


※性描写が含まれていますので、苦手な方はご遠慮下さい。


フェルナンは軍人だ。そしてモテる。殆どが花街だが、それなりの経験もある。
ゆえにそれなりに遊んでいて、自信もあった。

(こんな……こんな、しんじ、られないっ…!!)

十も下の相手なのだ。騎士としても新米でフェルナンの足下にも及ばない相手。そんな相手に意識を飛ばすほど翻弄されたことがフェルナンには信じられなかった。

「…っ、あっ……あああっ…!!」

声が抑えられない。
正直なところ、抱く側はあっても抱かれる側はスティール相手が初めてだった。全く慣れていないにもかかわらず、酷く乱れさせられている。スティールに触れられるあちらこちらが熱い。何でもないところもスティールが触れるだけで身を捩りたくなるような刺激が体を走る。

「……ん、んんっ…くぅ…っ」

止めようにも腰の動きを止められない。何より最初に奥に出されて以降、一度も体を離していない状態だ。年下の相手に大きく足を広げて迎え入れている状態。下腹部は互いに出した体液でぐしょぐしょだ。フェルナンにとって到底直視できない光景である。
繋がりあったそこがスティールの律動にあわせて、ぐちゅぐちゅと音を立てている。いやなのに応じて動く腰が止められない。

「…あ…っ、ああっ…も、いや…だっ…」

もう何度奥に出されたのか。判るのは出されるたびに脳天を貫くような快楽が全身を走ると言うことだ。快感の激震とでも言おうか。それが前触れなく一気に来て体を揺さぶられるのだ。文字通り目眩がするような強い快楽というのをフェルナンは生まれて初めて味わった。これがセックスなら今までしていたのは一体何だったんだと言いたいほどの違いだ。

「…ナン、フェルナン…」

名を呼ばれて何とか相手の顔を見上げると汗ばんだ顔を相手の手が拭っていた。その表情から相手も快楽を得ているのを読み取り、フェルナンは目を細めた。乱されているのが自分だけでないのなら何とか己を許せそうだ。

(スティール)

答えたつもりだが、声になっていなかった。
しかし口の動きで伝わったのだろう。スティールが笑む。
その笑顔を見て胸が疼いた。

フェルナンは小さく息を吐いた。この行為で心にかけていた枷が外れていくのを感じる。同時にゾクリと背を奮わせた。何かが抜け落ちた分、酷く乱されそうな己を感じた。これ以上乱れたら自分はどうなってしまうのか、どんな恥態を見せてしまうのか、ただ恐ろしい。

(どうしてくれる…?お前以外ともうできないじゃないか)

これがセックスならもう他は空しすぎてやる気になれない。
足が胸に付きそうなほど深々と貫かれ、大きく揺さぶられながらフェルナンはきつく目を閉じた。声は止めようにも止まらない。

「…っ、あっ………ぁあーっ…」

息が詰まり、嬌声が濡れたものへ変わっていく。
徐々に脳裏が真っ白になり何も考えられなくなっていく。スティールとは絶頂が近づくに連れ、毎回同じパターンだった。そして中に出されると一気に追い上げられてそのまま落とされるのだ。

「っ……あっ……んっ…スティールッ、あ、あああーっ」

そのまま達して意識を失ったフェルナンは己の印が淡く輝いて変化したことに気づかなかった。