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◆夢見る雨(10)

コウが使っている寝室は、相変わらず広い。
寒々しいほどの広さと豪華さが感じられる部屋で、サヴァは己に覆い被さるような状態のコウが着ているバスローブをつかんだ。
少ない照明のせいで部屋は薄暗い。しかしそんな薄暗闇の中でもコウの髪はキラキラと輝いている。
美しいとしかいえない白い手が己に触れるたびに、自分がコウの相手をしているのは場違いな気がして居たたまれなくなる。
声を出したくなくて必死に耐えていたら、胸を軽く噛まれた。
甘い刺激がつま先まで走る。

「ぅあっ……!」

思わず出た声に気をよくしたらしいコウが繰り返し舌先で刺激してくる。
弱い部分への刺激にサヴァはたまらず身悶えた。

「ふっぅ、あっぅ……っぁん」

必死にしがみついているうちに潤滑剤で濡れた指が内部へ入ってきた。

「はあっ……い、イヤだ、コウッ」
「無理を言うな」

増えた刺激にサヴァは必死に抵抗しようとしたができなかった。
ガリガリに痩せたサヴァよりも、コウの方が体格がいいのだ。
ぐるりと内部で指を動かされ、ビリビリとした刺激が突き抜ける。

「ヒァアアッ!」

弱い部分を的確に突いてくるコウにサヴァはいつの間にか声が止まらなくなっていた。
そんなサヴァをコウは嬉しげに見てくる。
性行為など慣れていたつもりなのに、コウが相手だと恥ずかしくて仕方がない。
しかし、抵抗しようにも己の体が憎くなるほどに敏感な反応を返してしまうのだ。
ビクビクと揺れる性器はすっかり反り返って、ダラダラと液を零している。

「も、無理、だっ……コウ……ッ!!」

早くくれと言う意味で促すと、指が抜かれ、綺麗な顔が近づいてきた。
噛みつくような勢いの口づけを受け、咥内へ侵入してくる舌に必死になって答えていると、ひどく物足りなさを感じる。
口づけは嬉しい。とても嬉しいのに抜かれた指が欲しくなる。否、内部への刺激が欲しくなるのだ。それは指では足りない。
無意識に物欲しげに腰が揺れていたらしい。足の内側を撫で上げられて気付いた。性器に触れるか触れないかのところで蠢く相手の手が憎らしい。

「コウッ!!」

早くと促すと嬉しげに笑まれた。
全く本当にこの男は悪趣味だ。自分などに惚れていて、自分などを抱きたがるのだから。
抱いている最中に嬉しくて仕方がないという様子を隠さないのだから。
けれど、自分もそんな相手が好きで仕方がないのだからどうしようもない。
そんなことを思いつつ、サヴァは相手の熱を受け入れた。