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◆竜鱗の害獣退治(13)


※性描写があります。苦手な方はお気をつけください。


「ふ……っ、ふぅっ……ううっ…うっ」

ぴちゃぴちゃと濡れた音が響く。
客室に用意された浴室は一般の浴室より広く、余裕があった。
しかし、無駄に広いわけではなく、二人で入るには快適な広さであった。
エルザークはアーノルドと向かい合うようにして座っていた。
口に入れられたアーノルドの指に舌を這わせつつ、エルザークは苦しげに呻いた。
指のせいで声を出しづらく、呼吸もしづらい。しかし、もう片方の手が下を攻めているのだ。孔を慣らしている指は豊富にある湯のおかげで滑らかに内部を出入りしている。抱かれることに慣れた体は従順に指を受け入れ、痛みはとっくになくなり、快楽を生み出している。

「うっ…ふぅっ…ううっ……」

アーノルドはエルザークの弱い部分をしりつくしている。動かされる指は慣らすように動きながら、奥の弱い部分を容赦なく突いてくる。そのたびに腰が跳ね上がるのをエルザークは止められない。
抜き差しされるたびに響く音はエルザークの羞恥を否が応でもかきたてる。

「うぅっ!…う、ううっ!…」

体が判りやすい反応をするのが恥ずかしくて仕方がない。しかし、濡れた指が出入りする内部はとっくに解れていて、次の強い刺激を待ち望んでいるのが判る。
前回から間が開きすぎていたのも原因だ。飢えた体は熱くなりやすい。アーノルドからの刺激をまだかまだかと待ち望んでいる。

(いつまで慣らす気だ、こいつは!!)

いいかげん、辛すぎる。
軽く抗議するように入れられた指を噛むと、アーノルドが小さく笑った。

「ハハ、先輩…我慢できないんですか?」

普段は子供っぽい反応が多い彼だが、こういう時は驚くほど大人びた顔をするのだ。そのギャップがエルザークの胸を騒がせ、眼を惹き付ける。

(くそ…!卑怯だぞ…!)

エルザークはアーノルドのこういう時の顔に弱い。自然と逆らえなくなるのだ。
目尻を赤らめて顔を背けたエルザークに、アーノルドはまたも小さく笑った。彼は愛する先輩がどういうことに弱いのか、知り尽くしているのだ。
アーノルドは中に入れた指を再度動かしながら、もう片方の手でエルザークの顎を捕らえた。

「先輩、こっち向いて下さい」
「………」
「エル……」
「……んっ……」

指が弱い部分を掠めたためだろう。声を小さくこらえながら、エルザークがゆるゆるとアーノルドに向き直る。
羞恥心が強い彼はこういう時に顔を合わせるのを嫌がる。故にアーノルドはわざとそれを強いる。強いた方が、エルザークが興奮してくれると知っているからだ。
アーノルドが中に入れた指を引き抜くと、エルザークの体がびくりと揺れた。
その手でわざと性器を撫で上げると、エルザークが漏れかけた声をこらえるのが判った。

「どろどろですねー…」

先走りと湯が混じり合ってぐっしょりと濡れた手を見せつけると、エルザークの顔が羞恥に歪んだ。
わざと顔の前に差し出すと、エルザークは嫌そうにしつつも舌を這わせた。己の精液など舐めたくないのだろう。それでもエルザークはこういう時はアーノルドに従順に従う。そんな一面があるのだ。

「…もう、いい、だろ……」
「何がですか?

理由が判っていて問い返すと、またもエルザークが嫌そうに顔を歪めた。

「だから……」
「はい………」
「くそ、おまえ……っ」

欲する言葉を聞きたいのだ。だからこそ知らぬ振りをするアーノルドにエルザークは言いづらそうに口を噤む。プライドと羞恥心が高い彼は、直接的な言葉を口にするのを嫌がる。
それでも体は限界に近いだろう。しつこいほど中を慣らしたが、それは焦らしに近い状態だったはずだ。欲しい気持ちはよく判る。十代の頃は攻受が逆だった。抱かれた経験があるだけに今のエルザークの状態がよく判るのだ。

「なぁ……判ってるんだろっ……」

羞恥心が邪魔をするのか、嫌そうに、焦れたようにエルザークが促す。

(疼いてしょうがないんだろうなぁ…まだ後ろでイかせてないし…)

二度ほど性器や胸を弄ってイかせたが、後ろではイかせていない。それが逆にツラい原因となっているのだろうとアーノルドは推測できる。何故ならエルザークは入れられてイク方が慣れていて、好きだからだ。
慣れた抱き方でまだイッてないだけにつらさが増しているだろう。

「…おい、アーノルドッ…!」

心なし、濡れた切羽詰まった声で名を呼ばれ、アーノルドは観念した。
好きな先輩を泣かせたいわけではないのだ。

「はい、判ってます」

これ以上焦らしたら、後が怖い。言わせるのは諦めるべきだろう。
やっぱり負けちゃうなぁとアーノルドが思っていると、エルザークの顔が近づいてきた。口づけを強請られていると気付いて、口を開ける。

(あー、やっぱり好きだなぁ……)

アーノルドが口づけに応じた瞬間にエルザークが見せてくれた嬉しそうな顔が目に焼き付く。いつも顰め面が多いエルザークは滅多に嬉しげな顔を見せない。だからこそ、時々見れる無防備な笑顔がアーノルドは大好きだ。特にこういう時に見れると、愛されているという実感が沸く。
普段から大好きな相手だが、より一層好きだという気持ちが強くなるのだ。

「フゥ…ッ……ンンッ…アー、ノルドッ」

突き入れて揺さぶると、エルザークが首に腕を絡めてきた。

「あぁっ、………イイ……もっと…っ!!」

貪欲に絡みついてくる内壁はとても熱く、アーノルドは眼を細めた。油断したらすぐにイってしまいそうだ。
エルザークの方はイレられて間もなく達していたが、お互いに体力がある軍人だ。まだまだ欲しているらしく、抜くなと言わんばかりに締め付けてくる。
アーノルドもまだまだ先輩が欲しいと思っている。時間はある。たっぷりと楽しめそうだ。
アーノルドが奥を繰り返し強く突くと、エルザークも声を上げて足を体にからみつけてきた。濡れた音と打ち付ける体の熱さが情欲を尚更かき立てる。

「せんぱーい、中に出してイイですか?」
「クッ……好きにしろっ…!」
「じゃ、出しますが、イっちゃわないでくださいね」

中に出されるとものすごく感じるのだと知っているアーノルドがからかうように言うと、エルザークがカッと羞恥に顔を赤らめた。イキそうな自覚があるのだろう。悔しげに唇を噛んでいる。

「じゃあ、出します」
「え!?待て、まだ早っ……あ、ああああっ」

耐える暇がなかったのだろう。大きく揺さぶられて奥を突かれつつ出され、エルザークの体が大きく震えた。腹部に出された精液のためにエルザークも達したのだと判る。異種印の場合、生気が混じり合わないため、中に出されると生気が抱かれる側の体を巡ってそれが大きな刺激となるのだ。そのことをアーノルドは知っている。

(うわ、とんじゃったみたいだな…)

とろりと濡れたエルザークの眼は焦点が合っていない。荒く呼吸を吐きながら、くたりともたれかかってくる体は完全に力が入っていない。いわゆるよすぎて、意識が一時的にとんでる状態だ。気絶しなかっただけマシだろう。
アーノルドが軽く動くと、まだ繋がりあったところから濡れた音が響いた。羞恥と情欲を掻き立てる音だ。エルザークにまともな思考があったら、とても恥ずかしがったことだろう。

(んー、俺まだ欲しいんで許して下さいね、先輩)

繋がりあったまま、首筋を軽く噛むとエルザークの体がびくりと震えた。

「先輩、そろそろ正気に戻って下さいよ」
「んっ……アーノルド?……うぁっ、まっ、待て、まだ、あああっ…」
「待てません」
「くそ、そんなこと…あっ、ああっ……」

耳元で聞こえる声が甘い。
あとどれぐらい出来るだろうかと思いつつ、アーノルドは再び動き始めた。