見合いの翌日、レナルドは友人兼上司の下へ向かった。
友人兼上司のアスターは青将軍だ。当然、自分の公舎を持っている。それは前任者であるセルジュから引き継いだ公舎だ。
彼は執務室で仕事中であった。ソファーには最近彼の部下になったザクセンが横になって眠っている。
「いい男見つけた」
書類を読みつつサインをしているアスターにそう告げると、アスターは『いいな』と羨ましげにぼやいた。
「結婚する」
「おいおい、いきなりそんなところまで行ってるのかよ。飛ばしすぎだろ。順番は守れよ」
そうか、順番があったのか、とレナルドは思った。
見合いから始めたが正しかったのだろうか。よくわからない。見合いの次は結婚だと思っていたが違っていたのだろうか。
もし間違っていたら、ギルフォードには悪いことをしたようだ。ちゃんと責任をとらねばならない。
「順番、どうすればいい?」
「そうだな。デートでもして手を握るだろ、花でも贈って、いや、男ならそれ以外のプレゼントがいいかもしれねえが、プレゼントして、雰囲気がよくなったらキスでもして、最後にお泊まりってとこか」
「アスター、レンディにプレゼント贈った?」
「いや、それがまだなんだよな。プレゼントどころか返されちまって………ん?お前、坊がレンディって知ってたのか?」
「知ってる」
「相変わらず不思議な奴だな、お前」
呆れ顔のアスターは幾つかアドバイスした後、興味津々の様子で問うた。
「ところで相手はどんな奴だ?」
「ギルフォード青将軍」
「それってシプリの兄貴だろ!やばくねえか!?身近で用意しすぎだ、お前!」
思わず突っ込むアスターであった。