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◆白〜終わりの見えぬ道を歩むこと〜(5)

※性的描写がありますので苦手な方はご注意下さい


ぴちゃぴちゃと濡れた音が室内に響く。
王都にはレンディのために用意された広い屋敷がある。
その屋敷の一室で、相棒である大蛇にもたれ掛かりながら、レンディは部屋の中央に倒れる男を見ていた。
黒い髪の男はレンディが戦場で倒した敵将の一人だ。
男の両手両足には大きな重し付きの手枷足枷がはめられている。
強力な媚薬に侵された男は大蛇が体を舐めるたびに大きく体を震わせている。しかし達せないように秘部は革製の枷で戒められている。
男には相当な拷問だろう。男の口からはひっきりなしに嬌声が響き、哀願の言葉が発されている。

『俺から見りゃまだまだ子供だ』

そう告げた優しい青年を思い出す。
こちらの正体を知らぬまま可愛がってくれた青年。
幼くして家族を亡くしたレンディにとって、初めて知る暖かな存在だった。
誰もがレンディを青竜の使い手と知ると目の色が変わった。迎えてくれたこの国の王族もレンディを最初から戦力として扱ってくれた。
それはレンディ自身も望んだことだが、そのことにより触れてくれる手のひらも与えられぬままだったのだ。
長身の青年は手が大きくて暖かかった。その手でいつもクシャリと頭を撫でられたものだ。

坊、と呼び、何も答えぬレンディをいつも笑顔で迎えてくれた。寒い日は大きな体で抱き込んでくれた。ときどき、背が伸びたなぁと言って喜んでくれた。無条件に甘えられる場所を作ってくれた唯一の人間だった。
優しい青年の態度が変わるのが怖くて、今は青年の元にいけないままでいる。

青年はレンディの正体を知っただろうか。
知っていたら一体どう思っただろうか。

他人のことなど気にしないレンディだが彼のことだけは気にかかった。

部屋の中央で悶える男が過度の快楽に意識を失いかけている様子を見て、レンディは立ち上がった。
レンディの動きに気付くと、倒れた青年は期待に身を震わせ、強請るように震える足を広げた。

背も伸びた。長身とは言えぬまでも男の体格になった。成長期なのでまだ大きくなるだろう。既に性行為も知った。軍事国家ガルバドスで国の半分はレンディが動かしている。もう到底『子供』とは言えぬ立場だ。

『気に入る奴を探せばいい』

かつて青竜ディンガが告げた言葉だ。
その相手を見つけることは出来た。しかし手に入れることは出来ないままだ。
倒れた男の枷を外し、熱く濡れた体内に突き入れながら、レンディの目は酷く冷めていた。