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◆邪神ゲイエルウッドの贄(オマケ話)


とにかく飢えていたのだ。
自慰が下手なカイザードはスティールと離れている間、性的な意味で満足することは出来なかった。
若くて元気な体だ。好きな相手を目前にしてお預けを食らっていたようなものだ。
スティールに触れられることで、やっと得ることができた刺激に、カイザードは口づけだけでイキそうになった。
それは体によく現れていた。潤む眼、官能たっぷりに艶めいた表情、赤く塗れた唇、触れられただけで震える体、そそり立つ股間。

「先輩、凄い」

小さく笑われる。カイザードの体の状態が判ったのだろう。
元々カイザードの体のことはカイザード自身より詳しいスティールだ。

「焦らすなっ」
「焦らすほどまだ触れてませんよ」

キスをしただけでしょうと言われ、再度甘く口づけられる。

「俺も先輩が欲しいです。たっぷりしたいです」

だからたくさんイッてくださいねと言われ、カイザードは言葉にせずに頷いた。

たくさん達けと言ったのは文字通り回数だったのか、それとも内容だったのか。
いずれにせよ、カイザードは文字通りたっぷりと快楽を味わうことになった。
案の定、すぐに達してしまったカイザードをスティールは何度も攻め立てた。飢えていたカイザードもその刺激をまともに受け止めて、連続で気絶しそうなほど達することとなった。
カイザードの弱い部分はスティールに知り尽くされている。久々の性行為でその弱点をスティールは遠慮なく攻めてきた。特に自慰でも触れていた乳首は念入りに刺激され、とどめとばかりに吸い上げられた時には性器に触れられることなく絶頂を味わったほどだった。
そうして文字通り、イキ地獄を味わいそうになるほどたっぷりと達することになったカイザードはスティールにもういいと頼むまで快楽責めを受けることとなった。
カイザード自身、濃厚な行為を求めていたが、体に全く力が入らなくなるほどの甘く濃厚な行為は砂糖とはちみつを混ぜたのかと思うほど甘い行為であった。

(明日が休みでよかった…)

心底そう思いながらカイザードは眠りについた。
しかし、その眠りはすぐに途切れることとなる。
次にカイザードが目を覚ました場所は浴室であった。

暖かな湯が流れる音がする。シャワーの音だ。
強い眠気が体を支配する。行為で気だるい体はうまく力が入らない。
しかし、体に感じる刺激が眠ることを許さない。

「んっ……何、して…」
「あ、起きました?まだ眠ってていいですよ」

スティールに洗ってもらいつつ、浴槽に座り込んだカイザードは体を洗う手が胸元をかすめ、びくりと体を震わせた。
昨夜、繰り返し刺激された胸はまだ赤みがひいていない。
些細な刺激をきっかけに昨夜の行為が思い出され、カイザードは顔を赤らめた。久々だったとはいえ、何度も強請る言葉を自主的に口にしたことが思い出される。
連鎖的に行為中のことが脳裏によみがえるとスティールの触れてくる手が妙に熱く感じられた。それと同時に指が内部に入ってくる。中を洗うためだと判っていたが、ちょうど連想していた時のことだったため、それはまるで愛撫するかのように感じられた。

「…っ!!」

びくりと体が跳ね上がる。
慌ててカイザードは体の動きを止めるために力を込めた。しかしそれは内部の指を締め付けてしまう結果となり、ダイレクトに指を感じてしまう。

「ふぁっ…」

思わず声があがり、その声は狭い浴室内に甘く響き、カイザードは顔を赤らめた。

「先輩、ダメですよ」

洗っているだけだからと言いたいのだろう。腰が立たぬ状態のカイザード自身、これ以上は危険だという自覚がある。
慌てて、『判っている』と羞恥に顔を赤らめつつ答えた。
しかし一度意識してしまうと、それをそらすのは困難だ。ただでさえ内部への刺激に弱いカイザードは中を弄られるとすぐに昂ぶってしまう。
昨夜の熱がまだ冷め切っていない体は内部に残った精液を掻き出そうとする指を味わい、みるみるうちに熱は再燃していった。

「ダメだって言ってるのに」
「……っしか、た、ないだろっ」

カイザードだって好きで昂ぶっているわけではないのだ。しかし中を洗われただけで猛りきってしまった性器を見つめられるのはさすがに恥ずかしい。しかも昨日、腰が立たなくなるほど達ったばかりなのだ。

「仕方ないですね、入れてあげるのはさすがにもう無理なんで、指で我慢してくださいね」
「指でって…っ……ぁあああっ」
「イケるでしょう?」

さすがにカイザードの体を知り尽くしている後輩だ。
中の弱い部分を複数の指で刺激され、昂ぶったカイザードの体はすぐに限界を迎えた。
カイザード自身、あまりに早すぎるだろうと思うぐらい、あっさりと達してしまい、恥ずかしさでどうにかなりそうなほどだった。
そんなカイザードをスティールは優しく宥めるように口づけ、ぬれた髪を梳いた。
実際、濡れたカイザードは潤んだ紫色の艶やかな瞳といい、桃色に染まった頬といい、震い付きたくなるほど色気たっぷりだ。そんなカイザードに切なげに見つめられたら、我慢ができようはずがない。

「先輩、もう一度ヤリます?」
「もう無理なんじゃなかったのかよ?」

お互いに無理だ無理だと思いつつも、互いを求める強い想いが止まらない。
口では仕方ねえなと言いつつも嬉しそうに体を委ねてくるカイザードをスティールは嬉々として受け止めた。

<END>