大陸東南の大国ウェリスタ。
大国らしく軍が大きな力を誇るこの国に置いて、騎士は人気ある高位の職の一つである。
騎士にも複数あり、王都を中心に守る近衛五軍。
国王直轄で独立した権力を誇り、国の北、西、南を誇る三つの騎士団。
そして東の海を守る海軍。
更に各地方領主に使える地方軍が存在する。
中でも近衛五軍はもっとも人気が高い花形とも言える軍であった。
最上級生となったスティールたちは就職先を決めることとなった。士官学校なので当然ながら就職先も軍である。
王都士官学校は各地に存在する士官学校の中でもっともレベルが高い。そのため、就職先である軍もレベルの高いところを目指す者が多い。その中でも近衛五軍は競争率が高いエリート職である。
常時、兵を募集している小さな軍もあれば、年一度限られた数しか募集しない軍もある。入団基準がない軍もあれば、厳しい基準が設けられているところもある。当然ながら近衛五軍は基準が厳しい。15歳以上、20歳までの印が使用でき、武術に長けた者。更に士官学校卒業生以外の場合は、推薦状が必要となっている。推薦状さえあれば平民でも入れはするが、入団試験は年一度で筆記と実技が設けられている。
「近衛第一軍?そりゃ近衛入れたらラッキーだろうけど」
友人ラーディンは軽く首をかしげる。
「うん……っていうかそこしか受けれないし……先輩、そこに入っちゃったから」
王都士官学校では職場見学が実施されている。王都士官学校は士官学校中もっともレベルが高いため、迎える軍の方でも欲しがっている人材といえる。優れた成績を修めた者は引き抜きがあるほどだ。実際、先輩であるカイザードも引き抜きがあったようだ。
「老シオン将軍の第一軍か…まぁ悪くはないけどな…」
けど他を見てみるのもいいんじゃね?とラーディン。他の軍にも興味津々らしい。
「うーん…でも俺、第一軍しか受けれないからさ…他を見ても意味ないし」
面倒だから遠慮すると告げるとラーディンは苦笑した。
「そーかよ。んじゃ俺は見学だけしてこようかな。ティアンがいろいろ見てみてから決めるって言ってたし、それに付き合うのも悪くねえ」
「判った。けどちゃんと第一軍受けてね」
「判ってるって」
ラーディンの実家は王都にある。王都勤務の近衛軍は最初から第一志望だったので文句はないラーディンだった。