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◆炎剣の使い手(6)

※性的表現があります、お気をつけください。

寮へ戻ったスティールは早速カイザードに捕まった。昼は共に剣の練習をし、夜は先輩が部屋へ押しかけてきた。早速前回のリベンジを、というわけなのだろう。
しかし、相手は殆ど経験がないらしい。正しくはスティールと前回ヤった経験しかないというべきか。そのため動きがひどく辿々しい。夜の町でプロの手管に慣れたスティールには全然反応できないものだった。

(うーん…ドゥルーガはこれを予測してたのかなぁ…)

ヤられようとしているのに小竜が動こうとしないのでどうしたんだろうと思っていたが、頭の良い小竜はこのことを予測していたのかもしれない。
スティールの無反応にカイザードは焦っているようだ。

(先輩が気の毒になってきた。変わるか…)

手を出すなと言われていたが、そろそろ動いてもいいだろう。そう思い、スティールは相手の脇腹へひやりとした手を伸ばした。

「…んっ…何、してっ……」
「悪戯…かな?」

相手の体の下にいても出来ることはたくさんある。体を屈めて下から相手の乳首に吸い付くと嬌声が上がった。突っ張った腕が落ちそうになっているので注意する。

「舐めただけですよ。これぐらいで我慢できなくならないでくださいね」

こう言えばプライド高いカイザードは耐えようとするだろう。そう思ったスティールの予測通り、カイザードは悔しげな表情で四つんばいのままで耐えようとする。これ幸いとスティールはわざと濡れた音をたてて乳首を交互にしゃぶり始めた。舐めて吸って甘噛みする。その間にも手は相手の脇腹から下腹部にかけてをなで回していく。体温の低いスティールの手はきわどいところまでは触れていくが、肝心のところまでは触れていかない。
繰り返されるうち、スティールの意図に気づいたのだろう。荒く息の上がったカイザードが訴えるようにスティールの目を見つめた。

「す、スティールっ…」
「はい?もういいですか?」
「い、いいって?」
「だって先輩全然準備できてなかったから。今度はちゃんと俺に準備してくださいね」

今日は先輩がするんでしょ?と問われ、カイザードは思い出したらしかった。

「痛いの嫌だからしっかり俺もよくしてくださいね」

さきほどあれだけの時間をかけても全く駄目だったのだ。これからスティールに快楽を与えるのは難しいだろう。しかしカイザードの方はというと短時間で限界近くまで高められている。この状態でお預け状態は辛いだろう。ただでさえカイザードは快楽に慣れておらず耐性がないのだ。

「…す、スティール………その……」
「何です?」

震える手がすがるようにスティールの腕を掴む。躊躇いがちに、しかしプライドより快楽が勝ったらしい。俯きながらカイザードは告げた。

「さ、される方が…いい……」
「先輩、自分がヤる方がいいって」
「悪かった!だ、だから…抱いて、くれ…」

スティールはわざと考えるように視線を彷徨わせた。それが相手には躊躇いや焦らされるように感じられたのだろう。訴えるかのようにスティールの腕を掴む手に力が籠もる。

「じゃあ次からはちゃんと俺が上でいいですか?」
「……っ…」
「嫌なら今日からちゃんと…」
「いいっ、お前が上でいいからっ」
「じゃあ交代ですね」

そのまま体をひっくり返し、カイザードの体をシーツへ押しつけるとカイザードは安堵したようにため息を漏らした。当人は意識していないかもしれないが、下から見上げてくる視線は与えられる快楽への期待に潤んでいる。中途半端に開いた足も強い愛撫を待ちこがれているかのようだ。

「じゃあ自分で足を持って開いてください」
「なっ…そんなことっ……」
「抱いてほしいんでしょ?慣らすためです。…先輩が開いてくださるまで俺は待ちますよ」

スティールは言いつつ、カイザードの高ぶった先端を指先で軽くつまんだ。ただそれだけの刺激でカイザードは高い声を上げる。自分自身の声に驚いたのかカイザードは慌てて声を押し殺した。しかしただ触れられただけの感触にも感じるのか息が荒く上がっている。

「先輩、凄い声。すごくきましたよ。ちょっと触っただけなのに敏感ですね」

指先で触れるか触れないかという戯れを繰り返す。焦らすようなその感触がもどかしいのだろう。カイザードの腰が擦りつけようとするかのように小さく揺れ始めた。それを指摘するとカイザードは羞恥に耐えきれぬような顔でゆっくり手を動かし始めた。

「足を……開けば、いいんだろうっ?」
「はい。ちゃんと奥まで見えるように持ち上げてくださいね」

羞恥と屈辱に泣き濡れた顔でカイザードは両足を持ち上げた。開き方が足りないと告げると泣きそうな顔で大きく開く。体液に濡れ、最奥まではっきり見える体位にスティールは満足した。逆にカイザードはマジマジと見つめられ、耐えきれぬようにぎゅっと目を閉じた。視線にさえ感じるのか、そり上がった部分はポタポタと先走りを腹部へ落としていく。

「先輩、零れてる。こんなにされて感じるんですか?ココもひくついてて、欲しいって泣いてるみたいだ」

こぼれ落ちた先走りを指に絡めて、奥の蕾へ突き入れるとカイザードは声を上げて仰け反った。

「先輩、痛いってば。あんまり締め付けるのなら道具使いますよ?」
「ど、どうぐって…」
「そういうモノですよ。全く知らないってわけじゃないでしょ?あぁそれともスライムとか…」
「い、嫌だ。力、抜くからっ。指、指でいいっ」

顔を引きつらせ、必死な様子で力を抜こうとする。緩んだ隙に少しずつ指を増やして慣らしていくと痛みより快楽が勝ってきたのか、自然と力も抜けるようになり、慣らすのも楽になってきた。快楽が勝るに連れ、絶え間なくこぼれ落ちるようになった精液が奥まで零れてくる。

「先輩、また足が落ちてきてる。ちゃんと握ってて」
「う……わ、わかって…るっ…」

自然と揺れる腰に加え、快楽におぼれている今、しっかり足を握って開いているのは辛いのだろう。しかしそうせねば与えられている愛撫が止められてしまうと判っているのか、カイザードは必死な様子で頷く。スティールに言われたことを鵜呑みにし、性的なことに初心な様子が可愛いなとスティールは思った。

「スティールっ……もう、ほ、ほしいっ」
「もうですか?」
「欲しい。早く、早くいれ、入れてくれっ」

カイザードはコクコクと必死な様子で頷いた。よほど耐えていたのか、早く、と促してくる。実際、限界寸前まで張りつめているカイザードの性器を見て、スティールはまぁいいかと思った。

「っ……あああっ」

貫いた途端、達され、スティールは小さく笑った。

「先輩、早すぎ。もうちょっと我慢して欲しかったな」

カイザードにすれば焦らしに焦らされたようなものだ。強い刺激に耐えきれなかったのは無理もない。しかしカイザードは羞恥に真っ赤になっている。貫かれてすぐ達した己に自分でも早いと思ったのだろう。

「まだイケますよね?」

ちゃんと付き合ってくださいと告げ、スティールは動き始めた。



翌朝、カイザードはシャワーを浴びて服を整えた。
わざと段をつけてシャープに切られた深紅の髪や強い意志を感じさせる眼差しは、昨夜の名残を感じさせない。
服を着てしまうと下級生の憧れの的の先輩だ。
改めて自分がこの人を手に入れた幸運を不思議に思っていると、目があった。

「…何、人の着替えをじろじろ見てる…」

睨まれた。赤くなった目元がかすかに昨夜の名残を感じさせ、可愛いなと思っていると小さく舌打ちされた。こんなところは気の強さとプライドの高さを感じさせる。
彼は来年、最上級生になる。卒業したら騎士だ。そこでハッとスティールは気がついた。

「先輩、志望は近衛にしてくださいね」
「は?そりゃ近衛はエリートコースだから構わねえが、北西のディンガル騎士団や南のクロス騎士団も悪くないぞ。もう少し熟考してから選んでもいいんじゃないか?」
「いえ、俺、近衛から選べって上から言われてまして…」
「……そりゃ近衛に行くしかないな…まぁいい。近衛に入れるってのは名誉な話だからな」

身支度を終え、部屋を出て行こうとしたカイザードは唐突に入り口で足を止めた。何だろうと怪訝に思っているといきなり戻ってきた。見送ろうとした矢先のことだったので少し驚いているとカイザードは素早くスティールの頬に口づけた。

「…じゃあな」

顔を真っ赤にして足早に部屋を出ていくカイザードに呆気にとられつつ、スティールは笑った。


騎士なんて危険職だ、ろくなことないと思っていた。
面倒なことになったと思った。
けれども。
こんな役得があるなら悪くない。そう思うスティールだった。


<END>

気の強い受が好きです。年下攻なら、更によし!
…というわけでカイザードが生まれました。
けど世間一般ではカイザードみたいなタイプは攻なのかなー…と思う今日この頃です。