綱~勝利をたぐり寄せる手~



 翌日、王宮内に内々的に次期国王の決定と他の王子王女の粛正取りやめが発表された。
 取りやめさせたのはアスターだという噂も広まり、ますますアスターの国王への影響力が噂されるようになった。
 そのアスターはというと貴族などから面会申し込みが増えてウンザリしていた。ことごとく却下しているが多くて大変面倒だというのが本音だ。
 そんなわけでノース軍公舎に避難中のアスターである。

「カーク様のお気持ちが今はすごく判ります!確かに面倒ですねっ!」
「私の方は結婚申し込みですよ?私の方が断るのは面倒ですよ」

 ノース軍公舎でカークとそう愚痴りあっているとノースに『君たち仕事をしたまえ』と注意された。
 
「けどカーク様はこれで結婚申し込みが少し減るんじゃないですか?」
「甘いですよアスター。王族と釣り合う結婚相手がそうゴロゴロとしているわけがありません。生まれ、実力、容姿が揃った私はとても結婚相手に相応しい男なのです」
「なるほど、確かに……」

 大貴族の生まれで高位の軍人となると確かに狙われ続けてもおかしくはない。
 
「そういえば陛下がホールドス国への侵略を考えておられるようで……」

 そう告げるとカークだけでなく、ノースも仕事の手を止めてアスターを注視した。

「おやそうなのですか?南のグロスデンが不穏だというのに意外ですね」
「ウィハーン族が不穏な動きを見せているらしくてですねー」
「ああ、なるほど。あの部族は隙あらばちょっかいをかけてきますからね。北の大国は代替わりしてからどうも落ち着きませんねえ……もともとギリギリのタイミングで代替わりしましたから仕方がないのかもしれませんが。一時期は白竜がとうとうホールドス国を去るのではと噂されていたぐらいです」
「なるほど……。それでですね、陽動のためにウェリスタ国にも二軍を出したいとおっしゃってました。けど前回のウェリスタ国戦にレンディ軍とゼスタ軍が出たのでそれ以外の軍がウェリスタ国戦を担当することになるようです。けどうちは砦奪回で一度出ましたし、ダンケッド軍もグロスデンとの小競り合いに出たでしょう?そしてアニータ軍も内乱鎮圧に出ました。そうなるとそれ以外の軍が担当するんじゃないかって思ったんですよ。けど陛下の考えは違うようで、大きな支障がないなら俺らの軍にも出ろとおっしゃいました」

 そりゃー、大きな支障はないけど連戦ってのはちょっとなーとアスター。

「そういう意味ではうちは支障がありますね。軍の再編が出来ていません」
「え、そうなんですか?」
「アンドレイたちがやっと青に上がったばかりですからね、部隊の再編中です」
「ああ、なるほど」

 ノースが深々と溜息を吐く。

「彼らがさっさと上がってくれていたらとっくに終わっていたんだけどね……。まぁ仕方が無い。そういうわけでうちは今回は出られない。とてもそんな状況にない」
「なるほど。するとレンディ、ゼスタ、ノースの三軍以外でくじ引きかー。当たりませんよーに」

 そう祈っていたアスターであったが見事当たりくじを引いてしまうことになる。

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